The alliance for conservation of Azuchi community
L'alliance per la conservazione della comunita di Anzucci

守ろう安土・みんなの会


序文       Preface

1.平成の合併政策

 国の赤字財政を地方に押しつけるために進められた「平成の大合併」政策は、多くの日本人から心の故郷を奪いました。合併特例法という名の、権力者の利益誘導に好都合な欠陥だらけの法律に基づき、少なくない数の市町村で、住民の合意に反する合併が、合法的に進めらました。全国各地で、行政主導の「自主的な合併の取り組み」という矛盾に充ちた名称と内容の審議会が「合併推進」を唱え、総務省が地方に送り込んだ役人が裏で合併のお膳立てをし、形の上では合法的に市町村合併を進めたのです。

 日本の時代名にその名を刻んだ「安土町」もまた、住民多数が合併に反対しているにもかかわらず、日本の自治体地図から消されてしまいました。合併に反対する安土町住民有志からなる「急ぐな合併・守ろう安土みんなの会」は、この合併をなんとか阻止しようと徒手空拳で、合併を推進しようとする勢力と戦い続けました。

2.安土を守ろうとした住民運動の軌跡

・自主アンケートの実施

 「急ぐな合併・守ろう安土 みんなの会」の前身となる「安土大好き・みんなの会」は、津村町長に対し合併については住民の意向を十分に尊重して検討して欲しいと強く要望しましたが、津村町長は住民アンケート等は必要なしとし、住民意向を把握しないままに合併検討を進めました。「安土大好き・みんなの会」は、町長がやらないなら自分たちでと、自主的に安土町全世帯を対象としたハガキアンケートを行いました。有効回答の85%は合併に反対という結果でしたが、津村町長は、調査方法に問題があると難癖をつけてアンケート結果の受け取りを拒否しました。

・住民投票条例の直接請求

 「安土大好き・みんなの会」は、2009年3月、直接請求署名により住民投票条例案制定を津村町長に要求しました。法定必要数500弱を遙かに超える4199筆(有効4015筆)以上の署名をもっての請求であったにもかかわらず、津村町長は「住民投票は不要」という意見を付けて条例案を議会に提案し、合併推進派が多数を占めていた当時の町議会がこれを否決しました。

・合併をゴリ押しした町長のリコール運動

 住民団体は、我が町の運命を決する合併という一大事を、住民の声を聞こうとしない町長に任せるわけにはいかないと、町長の解職請求(リコール)に取り組むことを決意し、2009年4月から署名集めにとりかかりました。

・町長リコール運動の最中に強行された合併議決

 「急ぐな合併・守ろう安土 みんなの会」は町長解職請求署名を法定必要数3300を1000筆近く上回る4209筆(有効3917筆)を集め、5月15日に選挙管理委員会に届けましたが、津村町長はあらゆる手段を使って署名審査を遅らせ、その間の6月15日に安土町議会が安土町と近江八幡市との合併議決を強行しました。署名審査が終わり署名数が確定し、町長解職本請求は6月24日に行われました。滋賀県知事と県議会もまた、町長解職請求の決着が付くまで審議を待つべきだとの声に耳を貸さずに7月15日に両市町の合併を承認し、津村町長の解職投票を待つことなく7月31日、総務省が合併を告示してしまいました。

・合併を推進した津村孝司町長の解職(リコール)成立

 8月23日に行われた解職を問う住民投票の結果は、解職賛成4137票、解職反対2787票、で大差で町長解職が成立、津村町長は即日解職されました。なお翌週の8月30日には、衆議院議員選挙が行われ民主党が自民党に圧倒的大差を付けて政権交代が行われました。

・出直し町長選挙で合併反対派の大林宏町長の誕生

 津村(前)町長は、当初は合併を成し遂げることが出来るのは自分だけだと主張し、出直し町長選への出馬に意欲を見せていましたが、結局は立候補を断念しました。町長選は、合併推進派として代役的に立候補した元教育長の木野和也候補と、「急ぐな合併・守ろう安土 みんなの会」代表の大林ひろし候補との一騎打ちとなりました。10月4日に行われた町長選挙の結果は、大林ひろし3643票、木野和也2946票と約700票差で大林ひろしが当選、ここに合併反対を掲げる新町長が誕生することになりました。

・合併推進派が多数を占める町議会の解散請求

 大林町長は、当選直後に臨時町議会を招集し、第一公約にあげていた「合併賛否を問う住民投票条例案」を議会に提案しましたが、合併推進派が多数を占める町議会はこれを否決しました。これ以後、大林町長は住民アンケートの形での再提案を二回行いましたが、いずれも町議会はこれを否決しました。

 「急ぐな合併・守ろう安土 みんなの会」は議会を入れ替えなければ合併に対する住民意向を示すことができないと考え、10月末、議会解散請求署名に取り組むことを決意しました。合併に反対し住民団体と協力関係にある4人の町議会議員は、自らの議席を無くする為に署名集めに奔走することになったのです。

・町議会の解散成立

 3852筆(有効3686筆)の署名が集まり11月に提出されましたが、町長解職時と同様に合併推進派の町議会議員達が理由にもならない理由を付けて異議申し立てを行い、時間稼ぎを行いました。署名数が確定したのは2010年1月5日。町議会の解散を問う住民投票が2月14日に行われました。結果は、議会解散に賛成3044票、議会解散に反対2586票、この結果により町議会は即日解散しました。

・町長専決処分による住民アンケートの実施、合併反対多数。

 大林町長は、議会不在時に専決処分で住民アンケートの実施を決め、安土住民はようやく自らの合併に対する意志を公的記録として残すことができることになりました。結果は合併に反対が有効回答の4158票(62%)、新市名称に「近江八幡市」を選んだ人は920人と、全有権者の僅か10%弱でした。

・出直し町議選で合併反対派議員が多数派に。合併停止を議決。

 出直し町議会議員選挙は、合併期日を1週間後に控えた3月14日。「急ぐな合併・守ろう安土 みんなの会」は定員10に対し、4人の前職に新人3人を加えた7名の立候補者を立てて選挙戦に挑み、前職一名が落選するという大きな痛手を被りましたが、3人の新人を含む6名が当選し、この結果により合併反対派多数の町議会が成立しました。大林町長と新議会は3月16日の臨時議会で「合併停止」を決議しました。

3.強行された近江八幡市との合併

 合併政策を推し進めた国自身がその政策の過ちを認め、合併推進政策を打ち切ろうとする寸前に、強行されたこの合併に対し、安土住民は全国で最も激しく民主的に戦いました。ほぼ1年間に3度の直接請求を成立させ、議会議決の撤回に持ち込んだ例は他にありません。

  ・合併反対の立場の町長
  ・合併反対派多数の町議会
  ・合併反対多数の住民意向

 このようにして明白に示された住民意志を、町長、町議会議長、住民有志が、近江八幡市、滋賀県、滋賀県選出国会議員、総務省に提示し、合併停止の政治判断を求めましたが、この国には

 ・住民意志と離叛していることが明らかな合併を停止する法的手段が無く
 ・安土住民の思いを真摯に受け止めることが出来る政治家も存在せず

 自治体「安土町」は、56年間の歴史に幕を下ろすことになりました。

4.守ろう安土・みんなの会

 この間、全国の皆様から多大なる御支援と激励を頂戴致しました。深く感謝致します。合併を阻止することはできませんでしたが、この運動を通じて結ばれたネットワークは私たちの宝物になりました。何時の日か、真の住民自治とは何か?という民主主義の根幹にも係わる命題が問い直される時が来れば、「安土」の名を復活させることができると信じています。
 「急ぐな合併・守ろう安土みんなの会」は「守ろう安土・みんなの会」と名称を変更し、安土町の誇りを取り戻すために活動を継続して参ります。今後とも御支援の程、お願い申し上げます。

2010年3月21日
「守ろう安土みんなの会」代表     白木敬祐
 同・公式ウェブサイト管理人     安土大好き

5.代表交代の御挨拶

 「守ろう安土・みんなの会」は、このたび集会を開き、白木敬祐の代表退任、副代表就任と、大林宏の代表就任を承認致しました。「守ろう安土・みんなの会」は、今後も安土町の誇りを取り戻し、住民合意のない一方的な合併によって安土町住民が不利益を被らないように活動を継続して参ります。今後とも御支援の程、お願い申し上げます。

2010年8月19日
「守ろう安土みんなの会」代表     大林 宏
 同・公式ウェブサイト管理人     安土大好き

6.代表交代の御挨拶

 「守ろう安土・みんなの会」は、このたび集会を開き、大林宏代表と白木敬祐副代表の退任と、元安土町議会議員、元近江八幡市議会議員の寺田美紀の代表就任、仙波一男の副代表就任を承認致しました。


 この度、「守ろう安土・みんなの会」代表を仰せつかりました寺田美紀でございます。「安土大好き・みんなの会」時代から、安土を守るための活動をリードしてこられた大林宏(前)代表が市議会議員に当選され、「今後は議員としての職務に力を入れて活動していきたい」ということでしたので、この機会に代表交代をということになり、6月11日の集まりで、私が皆様から指名頂くことになった次第です。

 このような大役を、お引き受けしてもよいものかどうか、ずいぶん迷いましたが「みんなの会」はその名の通り「みんなで作り上げ、進めて行く会」ですのでそういう意味で皆さまと共に歩ませて頂けたらと、お引き受けした次第でございます。これからも安土が安土であり続けるために、みんなの会推薦議員の方々との連携を図りつつ、安土を守る活動を進めていきたいと考えております。なにぶん力不足は重々承知でございます。皆さまのご支援なくしては何も出来ません。今まで以上にお力をお貸しくださいますよう、心からお願い申しあげます。

 御承知の通り、またもや安土においてあってはならないことが冨士谷市長の権限で実行されてしまいました。まさかまさか、と淡い期待もありましたが、見事裏切られました。

合併以来、冨士谷市長は、
 ・津村前町長リコール後の出直し町長選で敗れた木野氏を
  安土地域自治区長に指名。
 ・安土地域自治区協議会委員を合併推進派の方々で硬め、
 ・協議会議長には、議会リコール後の出直し町議選に
  出馬出来なかった大林輝男元議員を選出、

と、安土住民の意向を無視し続けた上に、さらに住民感情を逆なでするように町民の手で解職された元町長の津村孝司氏を副市長に任命するという理不尽極まり所業を行ったのです。

 市長は当然のごとく言いました。「合併したら旧市長は新市の市長に、旧町長は副市長になるのが世の常だ」と。もし、冨士谷市長が言われる通りなら安土町の最後の町長だった大林宏氏が副市長になるべきはずです。津村孝司氏は、安土町で住民により町長職を追われた人物なのですから。

 子供でもわかるこんな理屈すらねじ伏せ、筋を曲げて、理にかなわぬことを平然とやってのける市長。それを諌める議員すら居ない今の近江八幡市議会に、一体、私たちは何が望めるというのでしょうか。冨士谷市長はきっと、こういう風に返すでしょう。「大林宏さんは議員に当選しているやないか、いまさら副市長にというのは無理な話やないか?」と。このように話しをすり替え、住民の気持ちを逆なでし続ける、そんな市長と市議会を放っておけば、安土そのものが消し去られてしまうでしょう。

 安土を守るため、今まで以上に安土住民の思いを束ね、共に手をつないで進んで行かなければならないという思いを強くしております。皆様の御協力を心よりお願いいたします。
 「守ろう安土・みんなの会」は、前代表の大林宏市議会議員と共に、今後も安土町の誇りを取り戻すため、住民合意のない一方的な合併によって安土町住民が不利益を被らないように活動を継続して参ります。今後とも御支援の程、お願い申し上げます。

2011年6月11日
「守ろう安土みんなの会」代表     寺田美紀
 同副代表                仙波一男
 同・公式ウェブサイト管理人     安土大好き





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