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議会リコール署名キックオフ集会

2009年11月03日 青森県議会議員(元浪岡町長)古村一雄様をお招きし、
議会解散請求署名運動の意義についての御講演をいただきました。


「住民集会 古村一雄氏講演会」メモ

日時 11月03日(火・祝)15:00〜17:00
場所 JA安土 2階ホール
出席者 青森県議会議員   古村一雄氏(元浪岡町長)
    大阪府堺市議会議員 長谷川俊英氏
    安土町       大林宏町長
    安土町住民     約80名


1.開会・挨拶

司会: 署名の意見交換と、現在でも分町運動に取り組んでいる古村さんから元気を貰う会にしたい。

白木代表:  古村さんに来て頂くのは3回目。
 町長選には出発式へのメッセージをいただき、さらに逐次いろいろと指南いただいた。感謝に堪えない。我々の活動は全国から注目を集めている。議会を作り替えるべく署名をがんばろう。



2.大林町長挨拶

大林町長: 住民のみなさんから頂いている声への回答と、最近の町政状況報告で挨拶に代えたい。

(1)マニフェストの実施状況について

 議員リコールしていると、公約(マニフェスト)したことが達成出来ないのではないか?との質問を頂いているのでまず、これに答えたい。

○住民投票: 1番目の公約である住民投票は先日議会に提案して、ご承知の通り否決された。まず公約を実現するために議会を替えねばならない。

○合併協議に関して: 細かい事項は事務的にも進んでいく。しかし重大な課題が手つかずで放置されてきており、そこを解決しなければならない。地域自治区の取り扱い内容に付いては、何も進んでいない。自治区長のポストについても、近江八幡側は、公民館の館長クラスの取り扱い(非常勤)という認識であるということが解った。一方安土側では常勤の副市長ポスト並の地位にすべきだと認識しており、大きな隔たりがある。
 支所として残るとされている役場についても、どういう機能を残し職員を何人配置するかといったことは、何も決まっておらず、これから詰め無ければならない。

○停滞していた事業をすみやかに進める、という事項について: 春に各区の区長から要望書が上がってきている。前町長は何も手を付けなかったので、それをそのまま私が引き継いだ形になっている。11月7〜12日にかけて、各区の区長とそれぞれ1時間ずつ時間をとって現場を見せて頂く予定になっており、その際に何から手を付けていくか、ということを判断していきたい。

○あかコンバスより福祉自動車: 「あかコンバス」の試験運用を中止した。そのことについては、きちんと説明しなければならないと考えており、防災無線などでも放送させて頂いている。福祉バスの運転手とは既に話し合いを持った。陸運局にも行き協議を行った。いろいろな制度の壁により、なかなか思うようにはいかない。安土町から外に出る(近江八幡市まで運行)となると、多少料金を頂かなければならないかもしれない。国道8号線沿いの企業のバスに同乗させて頂くと云うことはできないか?という案もあるが、陸運局からの許可が、社員の送迎に限定されているので出来ない。町から補助を出して病院バスを増便できないか、という案もあったが、陸運局が、そもそも町から補助金を出すこと自体が認められないと云う。なかなか良い案が無く思案中である。

○中学校の大規模改修: しっかりとした計画と設計が必要であるので、その旨教育委員会には指示している。

○保育園、幼稚園の問題: 未着手。

○生活保護の補助: 区長要望に応えるという枠内で対応してゆく。

○公民館使用料: 公民館の文化協会加入者は無料、非加入者は現在の半額ということにする。ただし冷暖房費は使用者負担と云うことで従来通りでお願いしたい。既に11月1日から運用に入っている。

○船だまり条例、桟橋改修については12月議会に提案の予定である。

○老蘇多目的センターについては、耐震設計と内装工事などに必要な事項の調査に入っている。

○駅北駐輪場については安土町観光協会等に管理をお願いする方向で協議している。

○駅南広場の整理と有効活用について: 現在、相撲櫓のところは浸水工事に入っている。11月6日にJR京都支社にヒアリングに行く。住民運動期間にも電話で問い合わせしたりしてきたが、なかなか情報を出してくれなかった。今度は町長としていくので、もう少し詳しいことが解るだろうと期待している。駅そのものだけでなく、駅へのアクセスを改善しなければ利用者は増えない。そのためには常楽寺側からも入れる道路と駐車場が必要だ。相撲櫓の西側は業者が宅地造成を目的に買収に入っている。進入道路を設け、駐車場用地が確保し、残りを宅地に、ということで整備するよう業者には申し入れている。これらの問題いが解決できれば東近江市からの利用者も増えるだろうと期待している。

○駅舎の建て替え: 前町長らによる財政シミュレーションで30億円必要だとされている。豪奢な駅舎は要らない。最低限でよい。そもそも、安土町が赤字に陥る、という例のシミュレーションは、駅舎建築の30億円を3分割し、毎年10億円ずつ使うという支出が折り込まれた物だった。特例債で駅舎を(そもそも駅舎そのものには使えないのだが)という説明とも食い違うお粗末な物だった、ということがシミュレーションの内訳を出させてみて判明した。内訳については合併説明会などで質問されても回答してこなかった部分であり、こういうところからも都合の悪いことは隠蔽するという体質が透けて見える

○その他住民のための施策という部分については区長要望を中心に対応していきたい。


(2)史跡アピールの看板設置について

 私(大林町長)自身の思い、ということで考えている案件がある。
 先日、全国山城サミットが行われたように観音正寺城は名城百選にも選ばれており全国でも第一級の史跡である。これをもっとアピールするためにも新幹線から見える看板を作りたい。史跡指定地では、なかなか建てれないので場所にとサイズについては検討が必要だ。また安土城趾が新幹線から見えないので、役場の山にでも看板を建てたいと考えている。新幹線から見えるようにとなると、相当な大きさになり、かなり高額にはなるが、安土のアピールには是非必要なものになると思う

(3)合併協議会出向職員について

 合併協議会出向の職員の入れ替えについてはご承知の通りである。冨士谷市長も最初は抵抗したが、一応理解してくれたようだ。

(4)メリーゴーランドについて

 文芸の郷にメリーゴーランドという計画。これは寄付される(?)ということで来年3月いっぱいまでに建てねばならない事になっている。レストラン北側の芝生広場に計画されていたが、きれいな芝生には似つかないと考えている。文芸の郷の立場としては、押しつけられているようなニュアンスである。場所をテニスコートの方に持っていくと、こんどは駐車場が無くなるので、土地のやりくりについて、まだ調整が必要である。

(5)職員研修

 職員研修は5回やるということで計画しており、10月29日に自治問題研究会主任研究員の池上先生を講師にお招きして第一回目を行ったところである。住民運動の中で、役場職員の対応の悪さを感じてきた。町外から採用している職員が多くなっているのも一因かもしれない。新聞報道された問題をおこした職員については、大変残念なことだが一番重い処分を下すことになった。

(6)近況、その他

 その他、町内外のいくつかの行事に出席している。県の身体障害者福祉大会に出席した際に、後ろの席から「町長、町長」と呼びかけられ振り向いたら奥村展三衆議院議員だった。向こうから「この間は、迷惑かけましたなあ」と、にこやかに握手を求められたので応じた。

 交通事故慰霊祭が近江八幡市民会館で開かれた。会長の本間氏から受付で「大林君、がんばらなあかんなあ」と大きな声で激励された(少々気恥ずかしかった)。

 役場で40年間働いてきて、その間に何人もの首長を見てきた。首長が変わると自治体は変わる。自分も(5ヶ月間の任期しかないが)変えたいと思っている。

 11月18日に東京のNHKホールにて全国町村長大会が開かれ、自分も参加する。参加者リストを見ると、民主党国会議員のほぼ全員位の名前上がっているので、出会える機会にしたい。


 11月5日に近江八幡の合併推進派議員が集まって、安土町議会解散反対の寄り合いを持つらしい。町長リコールの時に近江八幡から解職反対ハガキが出されてように、また妨害があるだろう。

 議会解散署名は正義の戦いである。是非署名を集め、議会を変え、安土を守って欲しい。

  (拍手)



3.浪岡合併史と安土町の合併を巡る動きの相互関係について

前田: 浪岡がどのようにして青森市と合併させられたかという経過を紹介し、安土の状況と比較したい。両者の年表を(時間軸をずらして)並べた資料をご覧いただきたい。4−5年前の浪岡での出来事が、今、そっくりそのまま安土で起こっている。


  合併賛否を問う住民投票制定を求める署名運動
  条例案の議会での否決
  町長リコール署名 → 町長解職投票 → 出直し町長選

と、町長選候補者が変わった以外は、リコール署名の妨害や異議申し立てによる引き延ばしなど、まるで「予言の書」のように、ほとんど同じである。我々は浪岡の事例から多くのことを学ぶことができる。青森と滋賀、遠く離れているが思い同じである。協力して国や県に立ちむかっていきたい。



4.御講演「議会解職署名運動にむけて」 古村一雄様

(1)ご挨拶

 安土にお邪魔するのは、これで三度目である。今週、九州に農業関係の視察の予定があり、安土が議会リコールに取り組むと聞いて、これは一大事と一日早く出て寄らせて頂くことにした。

 明日は(町長選挙の出発式メッセージにて、お願いさせて頂いたように)町長室でお茶をいただく予定になっている。願いが叶い、大変うれしく思っている。

(2)浪岡の近況

 浪岡は雪で一面真っ白。飛行機は出発が30分おくれた。こちらは あたたかい。

 青森では、私が分町を虎視眈々と狙っている。安土では、住民団体が平成合併の最後の悪あがきしている。
しかし、法的には全てが整っている。(なにがあっても)合併は覆らない。新聞の最後の言葉はいつもこれだ。

 どこかに何か、抜け落ちはないか? と思うが、大林さんが町長になったので近江八幡は手続きについては手抜き出来ないだろう。浪岡では、合併議決がされたあと、法律で定められた告示がなされていなかった。(誰も見ないのだが)町の掲示板に3日間掲示しなければならないのだが、それがされていなかったのである。私が町長になり、はじめて告示していないのに気が付いた。これを取り上げて合併後に裁判に訴えたが、結果的には仙台の高等裁判所で負けた。判決理由は「告示はしなかったが、合併は周知されている。したがって告示をしなかったからと云って効力がないとは言えない」ということである。裁判所も所詮は行政側の組織である。

 先日、もう一つ続いていた電算システムがらみの訴訟を取り下げた。青森と浪岡を繋ぐ電算システムはソフトアカデミーという企業に発注されていたが、これが頻繁にトラブルを起こす。この会社に対し、前町長が3億円の融資を専決処分で行った。また、システムの納入前に1億6千万円を部分払いした。これを違法な支払いであると取り上げて(当方はオカネが無いので弁護士を立てずに)告訴していたのである。こちらには弁護士も電算機の専門家も居ないのでの苦戦しており、なんとか引き延ばしを図ってきたが、

 この春の市長選で浪岡シンパの鹿内さんが市長に当選したときに、「鹿内市長、この裁判どうすんべえ?」と相談したら「おらは被告にはなりたくねえ。」というので、ソフトアカデミーの経営を抜本的に改革するということを条件に取り下げることにした。

 裁判で合併を覆せないか、という思いもあろうが、行政裁判で勝つと云うことは非常に難しい。これは承知しておかねばならない。

(3)議会解散請求署名について

 大林さんが町長になって、住民のみなさんは喜んでいるだろう。もう、これで署名集めなんかしなくてもなんとかなるだろうと期待していただろう。

 自分は前にお邪魔した(町長選激励)とき「もう苦しい署名はやりたくない」と申し上げた。みなさんはその署名にもう一度取り組むことを決断した。正直なところビックリした。

 そうか、織田信長は気が短かった。短気が災いして明智光秀に襲われることになった。安土の人達は織田信長の血筋を受け継いで短気なんだろう。それで住民投票条例を否決されたときにカッとなって著名を取り組むことを決めてしまったのか、とも考えた。

 が、そうではないだろう。議会解散署名運動に取り組もうと決断されたのは、みなさんが、
  「やれるときは、やれるだけの事を、精一杯やろう。」
  「大林さんだけに任せるのではなく、みんなで戦うのだ。」
という強い気持ちを持っていたからだと思う。

 結果がどうなろうと、この署名運動は大林町長の大きな励みになる。近江八幡市にとっても、安土が、ただならぬ状況にあるということを知らしめる大きな効果があろう。3月21日までは枕を高くしては寝れない、議会解散請求は、そういうインパクトを与えることになるだろう。


(4)浪岡での議会解散検討

 浪岡でも議会解散は当然、考えた。私の町長の任期は1.5ヶ月しかなかった。この中で、どうやって議会をひっくりかえすか?色々と考えた。

 浪岡の状況で町長が議会解散すれば、時間的に合併前に議会選挙することはできない(つまり議員は合併特例で青森市議会議員にはなれない)。首長選挙から1年以内は、議会からは不信任案は出せないので、合併反対派議員8人が「古村町長の信任案」を出した。これを否決されたら不信任案と見なして解散するつもりだったが、合併推進派の連中は、この町長信任案に賛成し、住民投票経費についても賛成で可決し、しかし住民投票条例案は否決した。こういう、嫌らしいやり方で私の議会解散作戦はパーにされた。

 次に、合併反対派議員8人が揃って辞職してはどうか、という検討をした。もし、そうしたら合併賛成派の12人はどうするだろうか?自分たちだけが、在任特例で新・青森市の市会議員になっていくのだろうか?と相談したが、この案は合併反対派8人の中からも異論が出て、自発的議会解散は議論だけで終わった。

 そうする内に、3月6日に合併賛成派議員二人が逮捕された。容疑は11月の町長リコールの際の収賄である。(収賄の事実は把握していたので)警察が何時着手するか?と期待して待っていたが、警察はずうっと手を付けず、一人、二人と小分けにしていって逮捕していった。結局、合併期日前には(賛成派人数が逮捕で減り)合併反対派が過半数にならないようにして、合併後に3人を逮捕した。前町長も、最終的には逮捕されたが、合併後の青森市長選に影響しないように、市長選後に逮捕した。

表:浪岡・青森 合併前後の政局と議員・元町長逮捕のタイミング

2005年3月 4日臨時町議会 町長信任案可決 
 6日 町議会議員二人逮捕
 9日定例議会開会(会期9-16日) 
12日 町議会議員一人逮捕
16日定例議会最終日
 住民投票条例案(五回目)
 8対8、議長裁決で否決
 野党のみで会期を28日まで延長
 
18日住民投票条例を専決処分
 (議会延長を無効として)
 
23日 町議会議員二人逮捕
27日住民投票実施
 合併賛成 1097票
 合併反対 6845票
 
29日臨時町議会
 野党議員出席せず流会
 
31日町長閉庁の挨拶 
2005年4月 1日新・青森市発足 
 5日 旧町議会議員三人逮捕
24日新・青森市長選挙
 佐々木誠造(現職)  71418票
 奈良岡 央(元市議) 54606票
奈良岡氏は分町に理解
 
27日 加藤新吉(元)町長逮捕
 逮捕者は合計九人


(5)浪岡・青森 合併検証会議について

 自分たちは合併後も分町運動を続けてきた。4月に我々の主張に共感してくれている鹿内さんが青森市長に当選し、合併検証委員会が立ち上がったが、がちゃがちゃしている。合併を進めた青森側勢力は、合併以後、合併協定がどれだけ守られているのか?を検証しようとしている。それに対し、浪岡側は、何故合併することになったのか?合併に際し何故、前町長は逮捕されるようなことまでして合併を急いだのか?ということから検証すべきだと主張している。結論が出るまで、おそらく2〜3年はかかるだろうが、長くかかると、次第に期待も萎えてくる。高齢化もある。出来るだけ早くしたい。

(6)新市の職務執行者

 安土町である間に、合併前に、出来るだけのことをやっておく、ということが一番大事だ。大林さんの発言は新聞等で書かさずチェックしている。「安土の名前そのものが文化であり歴史である。」という言葉は、正にその通りだと思う。

 近江八幡市とは、近江八幡市が諦める位に、とことんやり合わねばならない。

 3月21日に「対等合併」することになれば、新市の市長選までの間の職務執行者を誰にするか?というところが一つのポイントになる。3月20日に両市町の首長は失職する。職務執行者は新市長が選ばれるまでの市長の代理である。この職務に誰が就くのか?。冨士谷市長が立候補するなら、安土町長が職務執行者になるべきだ。

 3月21日には、(旧安土町と、旧近江八幡市は無くなるので)、職務執行者は新市の条例施行や職員採用の何百枚もの書類に捺印する役割で、大きな権限を有することになる。

 青森では、古村にはさせられない(あいつにやらせると、ハンコを押さないだろう)ということで(前)青森市長が、自分にやらせろの一点張りだった。抵抗したが、揉めた場合には知事が介入してくることになる。知事と市長はグルなので、最後には(前)市長に譲ることにしたが、浪岡の町職員には「何故譲ったのか」と叱られた。

 この地位を大林さんが担えるよう、みんなで検討するべきだろう。

(7)合併推進派は、なぜ、住民投票を嫌がるのだろう?

 浪岡では、住民投票条例案を5回も否決された。その間に合併推進派議員を説得しようとさんざん試みたが、一人の議員も合併反対側になびかなかった。安土も全く同じパターンだ。

 今更、住民投票をする必要は無い。民意は「合併は嫌だ」とはっきりしている。だから大林さんを町長に選んだのだ。と、いう考え方もある。それでも、あえて住民投票を行いたい、住民投票でケジメを付けたい、ということで提案した住民投票条例が否決された。

 私が合併賛成派だったら、住民投票を受けて立つ。賛成派は、ずっと負けている(住民投票署名、リコール署名、解職投票、新町長選挙)のだから、住民投票で合併賛成に逆転しようと主張すれば良い。そんなに合併が良いと考えているのなら、住民投票に向けて、何故、合併すべきなのかをアピールして、合併賛成派を増やす努力をすれば良い。

しかし、奴らはやらない。 何故か?

 彼等が云うのは、せいぜい議会制民主主義を強調し、議会で決まった事だ、くらいである。議会では決まったが、自分たちは民意:住民の意思に背いている。それが頭にあり身体に染みついている。だから、これ一本で抵抗しているのである。
 その裏では、近江八幡市、県庁、総務省がいて色々と画策をしており、入れ知恵もしている。だから、住民投票をやらせない。住民投票の結果が、その後の分町の問題に波及していくからだ。

 住民投票の結果は、浪岡の分町運動では唯一のよりどころである。浪岡では合併5日前に、住民投票を行い、圧倒的多数(有効数の86%以上)で合併反対の意志を示した。

 合併の手続きが覆ろうが、くつがえらまいが、どちらでも良いから住民投票は必ずやらねばならない。


(8)浪岡での住民投票

 浪岡では、合併推進派が執拗に妨害した。(議会に5回提案し、5回とも否決された) 自分は元々は専決処分で住民投票を決めることはやるまいと考えていたが、妨害と抵抗が激しく、どうにもならないので専決処分を行い住民投票することを決めた。選挙管理委員会のメンバーの内の二人は合併賛成で青森市とも密通していた。だから選挙管理委員会は住民投票への協力を拒否した。

 「投票」というものは選挙管理委員会が取り仕切る物だと思いこんでいた。が、ある職員(町長に当選してすぐに作った合併対策室のメンバー)が、
 「選挙管理委員会が実施するから、町民は投票に来るのだろうか?
  仮に、町長が直接実施する投票には町民は来ないのだろうか?」
と話すのを聞いて、公平性が保証された投票であれば、町民は投票に来てくれるだろうと考え、その夜に緊急に会議を開き、町長部局で住民投票を実施することを決断した。

 すでに準備に入っていた投票用紙には「選挙管理委員会」と印刷されていたので、それをマジックで消して「浪岡町」に書き直した。(合併推進派からは突かれたが)

 議会の多数派を占める合併推進派は、町長専決処分を阻止するために、議会閉会させないという戦術に出た。彼等は自分(町長)と合併反対派の隙を狙って、議会を3/28まで延長する議決を、合併推進派だけで行った。議会開会中は首長は専決処分をすることが出来ないという制度を使って専決処分を阻止しようとしたのだ。しかし私は、後で何を問われてもかまわない、と専決処分で住民投票を行うことを決めた。

 住民投票は町長でも出来るということは実証されている。

(9)住民投票の意義と効果

 合併推進派は、議会解散署名を「町を混乱させることになる」等と主張して妨害するだろう。合併は覆らないのに、議会解散させてどうなるのか? そういう疑問も出てくるだろう。おそらく前の町長リコールの際とは違って、一言も二言も余分な説明が必要になっているだろう。

 議会解散請求は、私たちが経験出来なかった事項だ(やりたくても任期が短すぎて取り組む時間がなかった)。これは、大いに意義がある。合併が覆らないとしてもだ。

 反対派が議会で多数を取って、合併議決を白紙にもどす。反対議決をして近江八幡、滋賀県、総務省にその旨を申し入れる。国は、すでに告示しているから覆らないと云うだろうが、それでも申し入れる。そのことには大きな意義があり、以後の流れに大きな影響を及ぼすだろう。近江八幡市民は合併に疑問を抱くようになるだろう。なぜ、こうまでも嫌がる安土を合併に持ち込むのか?、ということが頭の隅に残ることになるだろう。

 浪岡・青森では、合併直後の市長選挙で当選をした佐々木氏に対し、この春の市長選では鹿内候補を擁立し、結果、現職の佐々木氏を圧倒して鹿内氏が新市長に当選した。青森市民に、佐々木(前)市長は何かおかしいと感じさせることができたのだ。直接的には佐々木氏が5期目という事もあり、職員不正なども問題化しだしており、そういう面での批判票が多かったのは確かだが、底辺には浪岡の合併以後「何かおかしい」という気持ちが市民の中でモヤモヤ残っており、投票判断に大きな影響を及ぼしたものと感じている。

(10)合併反対議決の意義

もうひとつは
 3月21日に合併し、新・近江八幡市が誕生したとすれば、今の町議会議員は合併特例で新市の特例市会議員になる。現近江八幡市の20人、安土町の10人による合計30人の議会が次期選挙までの間の1.1年間続く。この中で、安土の影響力を、どう持っていくのか、新しい市議会に安土の声をどのように届けて行くのか。議会解散が成立し、続く町議選で合併反対派が大多数を取り、近江八幡市の野党議員と手を組むことが出来たら、勢力伯仲に持ち込むことが出来る。近江八幡市議会は揉めるだろう。混乱するだろう。議会が混乱することは悪いことではない。議論を戦わせ、何故、安土を巻き込んでこんな形になってしまったんだろう、と近江八幡市に思わせればよい。

 議会解散に成功し、合併反対派が大多数を取ったとしても、国、県の考え方では、いったん合併して分町するしかない、と云うだろう。しかし、議会で多数派を握り、合併反対を決議して、国、県に申し入れをすることが肝要だ。制度は制度として、明確な住民の意思というものを示しておかねばならない。

 法定協議会でも、徹底的に議論すべきである。議論がまとまらず、近江八幡市側がお手上げになるような所まで持ち込めば、そこから安土と近江八幡の関係をどう築いていくのか、という議論が始まる。(フライングでスタートしている議論を、スタートラインまで押し戻さなくてはならない)それに期待している。

 合併反対派が大多数とまで行かなかったとしても、たとえ6対4での逆転でも、合併反対決議する、ということが極めて有効なやりかただ。この議決は後々まで大きな影響力を与えるチカラを持つだろう。

 町長選での対立候補だった前教育長さんは「安土の名を残す運動を応援する」と云った。まったく信用出来ない。本当に残す気があるのなら「安土の名を残す」と言い切らなければならない。

 新市での職務執行者を要求すること、議会で逆転して合併反対議決、いずれも極めて重要な意味を持つ。どちらも決して不可能な事ではない。


(11)宮城県柴田町の事例

 宮城県に柴田町という人口4万人の町がある。仙台市の南に位置し、仙台市のベッドタウンになっている。この町に仙台市との合併問題が降りかかった。町長は合併反対の立場だが、議会は合併賛成であった。今年の3月に町議会の選挙が行われ、その際に合併反対派は、政治に無縁の人、若い人を何人も候補者に擁立し、賛成派議員の筆頭であった議長を落選させ、合併反対の新人議員を6人誕生させ、合併反対議決を行って合併協議会を御破算に持ち込んだ。
 議会リコールが成立したら、次は是非、柴田町の人をお招きして、話を聴けばよい。

(12)何故、合併議決が特別多数議決ではないのか?

 民主党の世の中になり国会の勢力図は変わったが、地方自治体は、まだまだ国や県に都合の良い仕組みや制度の中に置かれている。

 議会で過半数を取れば、たとえ町長が反対でも、合併は進んでしまう。
 安土の名前が、永久に地図から消えてしまう。そんな重要なことが、町議会の過半数の議決でよいのか?と思う。議会議決には過半数ではなく、2/3以上の賛成がないと議決出来ない事項もある。これを特別多数議決という。住民に利害損得が絡む議案の議決には2/3以上の賛成が必要であると決められているのに、合併議案という重要な事項の議決が、これに当てはまっていない。それがおかしい。この仕組みを変えるのは民主党に期待するしかない。

(13)特例市議会議員という身分への執着

 浪岡では3期目を迎えた議員が多かった。議員を3期務めると年金が付く。浪岡町議より青森市の市会議員の方が給料が高い。しかも県庁所在地の市会議員だ。自分のキャリアを青森市議会議員で終わらせ、議員年金を貰いたい、そういう理由で賛成に回った人が多かった。嘆かわしいが、それを実際に口に出していた。

(14)国の在り方、市町村の在り方

 国の在り方、市町村の在り方、それを、どう変えて行くのか? 合併問題の根元はそこにある。
安土には、全国の、大きな市と合併した町村が注目している。(市だけでなく)町や村も国にとっては必要だ。国の在り方、市町村の在り方の中で、自治体を守る戦いは、新しい仕組みを求める活動でもある。

 民主党は、自治体の数を全国で800にしようと云っていたが、反対が多いので、その項目をマニフェストから落とした。民主党政権に我々のことをアピールして、2010年3月までに、精一杯やれることをやるべきである。それが(たとえ合併を阻止出来なくとも)新・近江八幡市の市政に大きな影響力を持つ。2010年に行われるであろう新市の市長選挙にも大きな影響を与えるだろう。

(15)対等合併というけれど

 対等合併、新設合併 これはウソでたらめである。合併すれば解る。新・青森市の市役所には、歴代の旧・青森市の市長の写真が、議会には歴代の旧・青森市議会の議長の顔写真が並べられている。私(対等合併した相手の首長だった浪岡町長)の写真は何処にも無い。

 浪岡では30億円の巨費を投じて、駅舎を含む「地域交流センター」が姿を現しつつある。こんな豪奢な建物は要らない。駅舎は木造でよい。民主党も、コンクリートより人を、と云っているが、まるで逆行した動きである。

 浪岡でもコミュニティバスが運行されるようになった。大変に不評である。コミュニティバスが運行する代わりにということで町立病院の送迎バスが廃止された。病院だけでなく買い物の便にも、ということで商店街を通るようになった。非常に時間がかかるようになり、病院に行った人が長時間乗車で、さらに具合が悪くなってしまいそうだ。

 参考  http://blogs.yahoo.co.jp/komura2121/30527149.html

 これも前市長が選挙目当てに八方美人的な約束を振りまいた弊害の一つである。
 (安土でも、この事例を参考に、よく考えて欲しい)

(16)議会解散請求署名にむけて

 安土は浪岡以上にイバラの通を歩み出した。
 気迷いを捨てて、前に向かうしかない。

 安土の勇気に拍手する。
 北の方でも応援のために、もう少し騒がなければならないと思っている。

 最後に
    住民運動は、一回でも負ければそれで終わり。
    合併賛成派は、既に何回も負けている。それでも合併は進められる。

 絶対に負けてはならない。がんばってください。

      (拍手)

5.意見交流

●●: 署名集めに各戸を回っている。石寺は合併反対が多いが、賛成の人も何人かいる。そういう人には「今度は議会解散の署名だ。あんたは向こう向いているから(合併賛成派だから)あんたには頼まん。」と云っているが、実はその人の息子さんが内緒で書いてくれた、というケースもある。尻込みせずに体当たりで行こう。

▲▲: 住民投票条例案が先日の議会で否決され、合併推進派が大林町長の足を引っ張るのを食い止めねば、と思っている。
 事務所で留守番をしていると、よく新聞記者が尋ねてくる。記者には地方版ではなく、東京版(全国版)に載る話をもちあげてくれと頼んでいる。マスコミに露出することも大切だ。
 旧能登川町や旧五個荘の元町議会議員とお話しする機会がある。彼等はみな一様に「なんであの時、安土市になっておかなかったのか・・・・・」と悔いている。今現在東近江市の市議会議員になっているような人でも、安土は残すべきであると云っている。
 町内だけでなく、県内外の著名な人達に呼びかけをしてアピールしたり、マスコミに露出することも大事だ。


6.署名方法 再確認

  省略



7.合併反対派議員の決意表明

司会: 古村さんからお言葉をいただいたように、最後まで出来ることはなんでもやるという姿勢で臨みたい。今回の議会解散請求に、自らの職を捨てて挑むことになる議員さん方から各々一言頂きたい。

なお、日岡議員は体調不良と云うことで、残念ながら今日はお休みである。

藤井議員
 「議会解散請求」の幟旗を作ったので披露したい。町中に立てたいので協力をお願いする。
 自分は3町合併の時から議会に出て、反対運動を続けている。我々の望む大林町長が誕生した。今回の署名で新しい議会を作りたい。それが願いだ。

井上議員
 6人の合併推進派議員は、立候補の時には、近江八幡市との合併を主張していなかった。で、あるのに津村(前)町長の暴走を止められなかった。全く信用することは出来ない。町民から信頼される議会に作り替えなければならない。私たちが民意を示し、大林町長を誕生させても、せっかくの住民投票条例案に屁理屈をつけて否決してしまう。ここまで来たら、町民が本当に必要としている議会を作ること、それを訴えていきたい。

 今日からエスティマ(街宣車)が走っている。自分も時間を見つけて街頭に出て支持を訴えていきたい。たとえ合併が阻止出来なくとも、浪岡のように分町運動につなげていきたい。一緒にがんばっていきましょう。

 

西川議員
 署名に歩いて頂いていて、こういう話をしているのではないだろうか?
  また署名か、何回やるのか?  
  議会解散して間に合うのか? 
  町長が変わったんだから 議会も変わるのではないのか?
古村さんの話の中から、それらの答えを見いだして頂いただろうと思う。

 安土はメチャメチャになるのではないか? 安土いったいどうなるんだ?
そういう心配もあるだろう。さまざまな町民の思いがある。それはみな、安土を大事に思っているからこそである。

 今の議会の在り方はいかがだろうか? 臨時議会を傍聴して頂いた方が感じた、そのとおりである(合併推進派が誠実に安土のことを考えているとは、とても思えない)。合併推進派議員達は、議論以前に、不都合な物は切り捨ててしまえ、そういう議会運営を数に頼って行っている。

  だ・か・ら・ この議会を変えなければならない。

 津村(前)町長は、住民から審判を受けた。議会も住民の信を問うべきだ。民意をしっかりまとめる、そういう体制を早く作り上げなければならない。それが多くの町民の願いである。


 今の議会は、はたして「安土を守る議会」だろうか? 現職議員が町民に信を問う。安土の在り方がどうあるべきか、ということについて、しっかりと住民の信を問う。それが大事。そのことにより、将来の安土がどうなるか?が決まる。運動を続けることによって、活動を行うことによって結果が実ってくる。

 努力に結果が付いてくると語った野球のイチロー選手に例えて、安土を守るためにがんばろう。

 与党議員という立場になって、大林町長と共に苦労する段階にきている。今後とも変わらぬご支援をいただきたい。


8.大阪府堺市の長谷川俊英市議会議員 ご感想と、ご挨拶

 今日は伊丹空港から古村さんを乗せて車で安土までやってきた。古村さんとお会いするのは二回目だ。実は、今春、青森市長に当選した鹿内さんは友人である。彼の応援に青森に行き、そこで古村さんに出会った。

 青森にはただ者ではない人がいる。

というのが初対面の印象であった。古村さんが安土で講演すると云うことで、それは是非聞かねばならないと思いお邪魔させて頂いている。
 堺市は、政令指定都市になりたいがために隣接する美原町を合併した。その際に、住民投票運動も行われたが議会が否決し、住民投票が行われることなく合併することになってしまった。


 今日、この会場に来て、(ただ者ではない人が)青森には一人だが、安土には何人もいる、ということを感じた。今、住民が住民の思いが通る政治を求めている。 それが国政に於ける自民党と民主党の交代劇の本質である。安土のみなさんには、是非、そういう政治を、町民の手で立ち上げていって欲しい。 堺から見守っている。がんばってください。

9.閉会挨拶

以上、






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